更新日:平成29年5月9日
新冠町長 鳴海修司 所信表明 (平成29年5月9日・第2回新冠町議会臨時会)
平成29年第2回新冠町議会臨時会の開催にあたり、町長就任のご挨拶と町政運営に対する所信の一端を申し述べさせていただきます。
私は、4月23日に執行されました新冠町長選挙におきまして、当選の栄に浴し、5月1日付けをもちまして、町長に就任いたしました。多くの町民の皆様方からの熱い支持によりこの場に立てますのは、関係各位のご支援の賜物と心より感謝し、決意を新たにしております。また、これまで新冠町を築いてこられました先人や諸先輩方のまちづくりへの思いを受け継ぎ、子や孫に引き継いでいく責任があるものと自覚しており、そのための施策を推進して参ります。
まちを存続するには、一定の人口が必要となります。そのためには多くの効果的な施策を同時に進め、相乗効果を図る必要があります。自分達の子や孫が安心して住み続けられるまちにしたい。その思いを実現するため、これまでの行政や議員活動で培ってきた経験を生かし、郷土「にいかっぷ」の将来を元気でいきいきした個性豊かな地域へと築くため、安心、安全な医療の提供、日々の新鮮な食料品の買い物環境の実現を目指し、トップセールスとしてのブランド「にいかっぷ」を創り、第一次産業を中核とした産業の振興等々に全力で取り組んでいく覚悟であります。
1 国保診療所の有床化と健康増進について
まず一点目は、国保診療所の入院病床の再開と町民の健康増進についてであります。
国保診療所は、一般会計からの繰出しの増加に加え医師や看護師等、医療スタッフの確保の難しさなどの理由から、平成27年12月をもって入院病床を休止しておりますが、この間、町民の皆さんからは、住民や医療関係者の意見が十分反映されていないことへの不満や入院環境のない診療所に対する不安の声が多く寄せられております。
町民皆さんの不満や不安を早急に解消するため、入院病床の休止以降、町民の医療にどのような影響が生じているのかを早急に検証する必要があります。
今、日本の医療は、諸外国にならい、かかりつけ医を中心とした地域医療へと変革を遂げようとしており、地域医療の重要性が改めて見直されておりますことから、近隣医療機関との連携の実態と将来展望も併せて検証し、町民の安心・安全のため、病床再開の実現に向け積極的に取り組んでまいります。
また、診療所に併設されている特別養護老人ホーム恵寿荘の移転改築でありますが、昭和58年に建設した特別養護老人ホームは老朽化が著しくまた、東日本大震災以来、入所者の避難対策が不十分であり、浸水区域外への移転改築が求められておりますことから、早急に状況を調査し、改築に向けた取組みを進めてまいります。
町民の健康増進対策でありますが、自分の健康は自分で守るのが基本であり、町としても、町民の健康保持のため各種検診を実施し、受診を広く呼び掛けておりますが、受診率が上がっていないのが実態です。このため、受診率向上対策の一つとして、町が実施する各種検診の無料化を実施し、疾病の早期発見・早期治療に繋げ、ひいては医療費の抑制にも繋げていきたいと考えております。また、温泉効能を町民の健康増進に活かした取組みとして、温泉無料入浴券をこれまでの75歳から70歳に引き下げ、枚数を36枚に増やすなどのほか、魅力あふれた温泉活用策を検討し、町民の健康増進に役立てたいと考えます。
2 生鮮食料品等の買い物対策
2点目は、生鮮食料品等の買い物対策についてであります。
農協ストアーの廃止によって、特に生鮮食品においては、日常的に扱う店舗が無くなり、近隣町へ出向く事が出来ない高齢の皆さんを中心に多くの町民が困惑しております。町民が生鮮食品や日用品を自ら見て選び買う事のできるような施設整備を早急に構築すべきと考えております。
その一つとして大手スーパーによる車両での移動店舗の導入や隣接町の大型店と連携した買い物ツアーの仕組みづくり、或いは物産館新冠市場の展開など、いろいろなシステムが考えられますが、まずは、「トップセールス」により、民間ストアー等の誘致をめざしてまいります。
3 防災対策
3点目は、防災対策についてであります。防災対策は町民の生命と財産を守る安心・安全なまちづくりのスタートラインであります。昨年は全道各地で大雨災害が多発しておりますし、8月には、集中した台風の影響により、堤防の決壊や樋門管理の不手際、小河川の未整備など住民との訴訟間題も生じているのが実態であります。
当町は地形的に丘陵地が多く、大雨による土砂流出と常に背中合わせにありますことから、道路、河川、農地などの維持管理を怠ることなく、適切な予算配分をすることこそ被害を最小限に食い止める有効な手段と考えております。新冠川浄水場地先にあっては、近年のゲリラ豪雨に鑑み計画水位と満潮時における台風・高波と降雨量の独自調査を行い、現築堤高を検証し、高規格道路も視野に入れながら、河川管理者に対し嵩上げ改修の推進を図るよう積極的に働きかけるべきと考えております
また、危険個所のリストを作成し、一定の予算配分をして町民の生命と財産を守るほか、自然災害を想定した新冠市街地も含めた町内全体のシミュレーションづくりを早急に取り進める必要があります。
4 学校教育等、子育
4点目は、学校教育及び子育て施策の充実についてであります。始めに学校教育についてですが、町内に9校あった小学校を2校に統合した背景には、複式学級の課題や問題点を解消することにありました。
しかしながら、朝日小学校は児童数の減少により、今年度から、一部の学年において複式学級になることから、町が独自に教職員を確保し、これを回避しました。しかしながら、今後、更に複式学級が発生した場合、引き続き単式学級を維持していくためには、さらなる教職員の確保が必要でありますし、これに係る人件費の増大などの課題や問題点が多く残されておりますので、いち早くその課題や問題点を整理し対策を講じてまいります。
次に子育て施策の充実についてですが、児童生徒の健やかな成長を後押しするとともに、子育て世帯の経済的負担を軽減するため給食費の無料化に取り組むほか、通学や下宿等で嵩む出費の軽減を図るため、高校生の通学費等の支援を実施するほか、誕生祝金の贈呈、出産時緊急ハイヤー助成などの実施に取り組みます。
5 第一次産業の振興
5点目は、第一次産業の振興であります。新冠町は農業を中心とした第一次産業の町であります。これからもこの形態は変わることはありませんし、今後も団体を始め関係者と更なる連携のもと、農業振興対策の充実を図ってまいります。
現状での取組について特に高い評価を受けている黒毛和牛、ピーマンについては新冠農業の基幹作目に進展しており、さらなる産地化への確立を目指して、生産者の意欲向上と経営安定化の為に全身全霊で振興策を推進してまいります。また、担い手並びに新規就農対策の継続した充実を図るほか子弟継承支援対策も併せて推進してまいります。
軽種馬対策では、150戸余りの生産者の困難な時代など歴史的な経過がありますが、関係者と連携し、販売対策事業の強化や強い馬づくりへの支援のほか、ホッカイドウ競馬をはじめとする地方競馬の活性化支援を継続してまいります。酪農業は、後継者不足や高齢化により年々減少している傾向にありますことから、対策を強化するため外国人の雇用や新規就農研修生の確保などに要する資金助成について取り組んでまいります。
稲作については、生産者の方々が、消費者が求める食味を追求しながら推進を強化しているところですが、国政における転作の方向も変更されようとしており、今後新冠産米の消費拡販に向けた強化策について支援してまいります。畑作、蔬菜については、基幹作物であるピーマンの選果場の設備が更新され作付面積の拡大も図られたところですが、さらなるブランド化への強化について支援してまいります。
漁業では、漁業協同組合や関係団体と連携を強化し、種々協議のうえ、新規就漁対策並びに子弟継承対策の支援のほか前浜の資源確保対策やヨシキリザメ等による漁網被害対策、さらには新冠海岸整備対策の推進など各種事業を積極的に推進してまいります。林業では、地球環境に優しい資源である木材生産が伸び悩むとともに、これまで掲げた他業にも共通する担い手不足等深刻な状況にあることから森林組合をはじめ関係機関と連携し課題解決に注力する必要があります。
6 開かれた行政
6点目は、開かれた行政の実現についてであります。新冠町は平成に入り新たなまちづくり・まちおこしとして各種の事業を展開してきておりますが、現状を見ますと各種プロジェクト事業は、衰退の一途をたどっているのが実態です。町民との対話、町民に寄り添ったまちづくりが消滅しつつあることが背景にあり、町民との一体感が大きく欠落していることが要因と感じております。
町民との対話を大切にする行政として一から出直すため、身近なところの公共施設の活用方法、各種行事、イベントの洗い直しを行う一方、向こう5年間・10年間のまちづくり、町おこし事業のための町民組織を設置し、実効あるものにすべきと考えております。また、町職員の意識改革が最も重要であります。「誰のための役場なのか。」「誰のための職員なのか。」トップを始め全職員の意識改革なくしては新冠町の明日はないとの思いで改革に取り組んでまいります。
このため、町政懇談会の実施や町民会議等の設置に取り組みます。「町民が第一」だからこそ、全ての情報を公開してまいります。町民生活を支えるのが役場であります。役場が取り組んでいる政策、これから取り組もうとしている政策の経過、現状など全ての情報を公開すべきと考えております。
政策の何が課題なのか、何を解決すべきなのか。どのような政策を展開すべきなのか。町民からの要望、意見を聞きながら、役場としての態度、方針を決め、町議会に諮って最終決定することを町民は望んでおります。
7 市街地計画と環境整備等
7点目は、市街地計画と環境整備であります。日高道を意識した宅地及び道路整備計画や海岸線国土崩壊による海中汚染の漁業被害解消対策を推進するほか、道の駅ゾーンの大胆なリニューアルなど町民との対話を進めながら明解な計画樹立と町民にわかりやすい公開をしてまいります。
8 通信格差解消
8点目は、通信格差の解消であります。携帯電話がつながらない地域における情報通信インフラ整備の促進など、町の情報計画を樹立し、優先順位も考えながら適正な事業を検討する必要があります。特に技術革新の今、光回線に代わる移動系の利用を国も推奨しており、費用負担の大幅に少ない無線ブロードバンド等も含めた適正な事業を検討して参ります。
以上、私の町づくりに掛ける思いの一端を述べさせていただきましたが、これらの実現には、直ちにできるものもあれば、時間を要するものも多くあります。しかしながら、町民との対話を重視し、拙速に進める事のないよう職員の能力を最大限引き出しながら、順次解決することにより「思いやりと笑顔にあふれた新冠」を実現することができると確信しております。そのためには、「町民の声が生かされる町政」、「分かりやすく公平・公正な町政」、「町民と行政との協働のまちづくり」の3つを基本姿勢に身命を賭して全力で取り組む所存であります。
町民の皆様、議会議員の皆様、そして関係団体、関係機関の皆様のご支援を心からお願い申し上げ、新冠町長就任に当たっての所信表明と致します。