更新日:令和6年7月10日
1877年2月に発明し1878年1月にエジソン・スピーキング・フォノグラフ社を設立。
錫箔をシリンダに巻きつける方式で、約1分間しか録音できず音質もよくなかったため500台を製作して製造を中止した。これは世界に5台現存しているうちの1台である。その後、エジソンは白熱灯の開発のため約10年間蓄音機の研究を休止している。
エジソンが錫箔蓄音機を発明した後の空白の10年の間、電話の発明者グラハム・ベルは1880年音響に関する実験と開発のためにボルタ研究所を設立した。
この研究所のチチェスター・ベルとチャールス・サムナー・テインターの2人は、1881年頃からエジソンの機械の改良を始めた。そして、1885年頃には錫箔に代わって、直径1センチ・長さ6インチのボール紙の円筒にワックスをかぶせたシリンダレコードを作った。エジソンの録音方法は、振動板の振動によって針が錫箔の表面に凸凹を作る構造であったのに対して、針によってワックスの表面に音を刻み込む方法を用いたのである。
ベルとテインターはこの改良機を"グラフォフォン"と名付け、アメリカン・グラフォフォン社が設立された。この特許によってエジソン社と後に特許権をめぐって訴訟問題が起きるが、ベルとテインターが改良したフローティング・スタイラス構造やワックスの表面に刻む録音方法は、エジソンに大きな影響を与えたことは、後のエジソンのシリンダ機を見れば明らかである。
また、現在も存続している最古のレコード会社コロンビア社のルーツでもある。
レ・コード館には3台が試作されたうち、現存する1台が展示されている。(うち1台はアメリカ・スミソニアン博物館に保存されている。)
エミール・ベルリナーのアイデアによる世界で最初のディスク型レコード用の手回し蓄音機。
カマー・ウント・ラインハルト玩具会社の商品として製造された。5インチの硬質ゴム製ディスクレコードは、薄くて割れやすく雑音が多かった。
イギリスの画家フランシス・バラウドの描いたフォックス・テリア犬、"ニッパー"がレコードから聞こえる主人の声に耳を傾けている絵画によって、おそらくもっとも親近感のある蓄音機の現物である。
これに、ヒズ・マスターズ・ボイスとタイトルが付けられ、日本でもビクター社の商標としてレコード産業の発展とともに誰もが眼にしている蓄音機である。
2分ワックスシリンダ用で、機械のベースはケース上部の木部に取り付けられ、ヒンジによって開閉できるようになっている。オーク材のケース正面には"エジソン・スタンダード・フォノグラフ"と書かれています。
2分ワックスシリンダ用:時計用に似たバタフライキーの付いた小さく安価なモデル。
機械部分にカバーがないために、1本ゼンマイやガバナー等は露出している。黒いエボナイト製のリプロデューサーは、エジソン社の蓄音機と比べると小さくて軽く、マイカの振動板に金属製のドームを介しサファイアボールが付けられている。
ホーンの根元のレバーを上げ下げして、リプロデューサーの上下動とヒュードスクリューの送りをかける。ホーンはニッケルメッキ。木製の台座にカマボコ形のフタがクリップ式に取り付けられ、フタとリプロデューサーにはパテ社のトレードマークである雄鶏(コック)が赤くペイントされ描かれている。
テーパーが付いたグースネックと呼ばれるアームとなって、針圧がサウンドボックスの重さとトーンアームの一部だけになったためにトレースがよりスムーズになった。
オーク材のケースにはレリーフ模様が彫られて、オーク材のホーンにも矢羽の模様が施されている。2本ゼンマイで10インチターンテーブルにはレコード押えのナットがついている。
ダイアモンド・ディスク専用:金属部分はすべて金メッキ仕上げで、ボリューム調整のためにフェルトボールがホーンの中を前後する仕組みになっている。ホーンはレコードのトラッキングと同調して動く機構になっている。マホガニー製キャビネットで下部はレコード収納部。
2分4分シリンダ用:赤茶色にペイントされた鋳鉄製ボディには、金線と黒線によりデコレーションがあり、同じ色にペイントされた8枚パネルホーンが付いていて「レッド・ジェム」の愛称で呼ばれていた
ビクター社が販売した外部ホーン型の機種の中では、もっとも豪華で高価な機種で当時100ドルした。
金属部分は3回重ねのゴールドメッキがされており、グースネック・トーンアームには金色のエキジビション・サウンドボックス。12インチターンテーブル、3本ゼンマイ、キャノン型ブレーキ。
マホガニー材のケースの四隅にはコリント式の柱が取り付けられ、その柱の上下の飾りもまた金色にメッキされている。
4分ブルー・アンベロールシリンダ専用機:エジソンはこれまで壊れやすいワックスシリンダを、丈夫で音質のよいブルー・アンベロールシリンダに改良した。針はサファイアである。
1914年発表のVV-11型に相当する機種で4本足と7段のレコード棚が付いたフロアーモデル。
このモデルはオート・ストッパー、スピード・インジケーター付き。ニッケルメッキの太めのグースネック・トーンアームにNO.2サウンドボックス、12インチターンテーブル、キャビネットはマホガニー材。
ニッケルメッキされた細い逆S字形のトーンアームにコラロ社製の12インチターンテーブル、2本ゼンマイモーター。
紙を貼り重ねたパピエ・マーシュ・ホーンはシグネット型で口径1000ミリメートル、ケースはオーク材。
1925年に発表された"グラナダ"はこの年に4-4型と改められた。基本的にはグラナダとまったく同じで、ニッケルメッキのトーンアームにアームサポートはなく、オーソフォニック・サウンドボックス、12インチターンテーブル、2本ゼンマイ。
鋳鉄と塗装された木製ストレートホーンの開口部には、グラナダには無かったグリルとネットが付く。左右の扉はレコード収納部で、マホガニー材のキャビネット。
キャビネット全体を、薄いグリーンと金色のラインで飾ったこのモデルは、本シリーズ中でも変わり種の一つである。金メッキのトーンアームにはアームサポートがなく、金色のオーソフォニック・サウンドボックス、12インチターンテーブル、電気モーター駆動である。
フタはスプリングサポート式で、オーク材のキャビネットには彫刻された飾りが付いている。ホーンはすべて金属製でスロート部分から垂直に下方に下りながら2分割して折り曲げられ、次に前方へ向かって開口部へ至るリエントラント型
本格的な電気録音盤の再生機として開発され、従来よりも太いトーンアームにHMV.N0.5Aのサウンドボックスが付いた。
12インチターンテーブルに2本ゼンマイ、ホーンは亜鉛板のストレート型。ケースのフタがテンプルトップからフラットトップになり、ホーン開口部にはグリルとネットが付けられた。駆動のスタートとストップがトーンアームと連動している。ケースはオーク材。
シリーズ中の中級機で1930年に発表。価格は30ポンド。ニッケルメッキのトーンアームにNO.5Aサウンドボックス。12インチターンテーブルに2本のゼンマイの32型モーター。
亜鉛板のホーンは垂直のスロート部から2分割して、水平と上下に2度折り曲げられて4分割され開口部へと至る、リエントラント型である。キャビネットはオーク材。
参考資料「図説 世界の蓄音機」(星雲社)
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